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ノーマン先生の「誰のためのデザイン?」を読んだ。

ノーマン先生の「誰のためのデザイン?」を読んだ。

この本では、身の回りの物の「使いにくさ」が人の認知構造も踏まえながら考察されている。最後には、その成果が「デザインの7原則」としてまとめられている。豊富な例のおかげで読み易くかつ理解し易い作りになっているが、決して平易なだけでは無く学びの多い内容となっている。

古い本ではあるが、今でも色あせる事の無い良書だと思う。

デザインの7原則

  1. 外界にある知識 と頭の中にある知識の両者を利用する
  2. 作業の構造を 単純化 する
  3. 対象を目に見えるようにして、実行のへだたりと評価のへだたりに橋をかける( 可視性 )
  4. 対応づけ を正しくする
  5. 自然の制約や人工的な制約などの 制約 の力を活用する
  6. エラー に備えたデザインをする
  7. 以上のすべてがうまくいかないときには 標準化 をする

以上7つがデザインの7原則としてまとめられていた。それぞれの原則の意味については、以下のブログで分かり易く説明がなされている。

人間中心のデザインの原則 -『誰のためのデザイン?』を読んで-

1の外界にある知識の利用、3の可視性、4の対応付け、5の制約の利用については、若干意味の被りがある(と僕には思える)ものの、これらの原則は良いデザインを提供する為の優れた指針となっている。

原則の意味の被りについて

3の 可視性 はものすごく広い概念で、本書を通じて重要性を強調されているものでもある。何故ならば、システムの 目に見える 部分が「システムイメージ」であり、そこからユーザーは独自のメンタルモデル(ユーザーのもつモデルと呼ばれる)を作り上げるからである。使い易さの為には適切なメンタルモデルの構築が重要であり、その為には一貫した振る舞いや状態を示すシステムイメージが必要となる。

本書に記載されている原則としての可視性について言及しておくと、行為側での可視性は、「何が実行可能であり、どうやったら良いかが分かる事」と説明されている。これはまた、「意図とその時点でユーザが実行出来る行為」の自然な対応付けがつく事であるとも言える。この実現の為に、外界にある知識を利用したり制約を利用したりする事が出来る。対象の形状や特性が持つアフォーダンスも重要なヒントとなる。

評価側での可視性は「自分の行った行為がどんな効果を及ぼしたのかが分かる事」と説明されている。これはまた、「行為とその効果」の自然な対応付けがつく事であるとも言える。

以上を踏まえると、「目に見える制約やヒントによって可能かつ適切な行動が分かり、さらに適切な結果も目に見える事で良い対応関係を作れるようにする」といった文に1, 3, 4, 5の原則はまとめられるのでは無いだろうか。

そこに、単純化、エラーへの備え、標準化といった原則が追加されているのだと思う。

本書を読んでの所感

「誰のためのデザイン?」を読んだ時、「使いにくさ」や「不自然さ」の要因がきちんと言語化されていたのが僕にとっては衝撃的だった。これまで、何かを使ってみた時に「使いにくい」と判断する事はよくあったが、何故使いにくいのかまではきちんと言語化出来てなかった。

最初は使いにくいエディタ

パッと思いつく例としては、例えば「vim」や「emacs」の様なエディタがある。これらは使いこなせればものすごく生産性が上がるものの、最初はものすごく使いにくい作りとなっている。この使いにくさは、「外界にある知識」をほとんど利用出来ていない事に起因している。キーバインドを覚えて「頭の中の知識」として蓄えなければほとんど操作が行えず、可能な行動を絞り込む「制限」も無い(しいて言えば何かキーを入力すべきというくらいである)。これでは、最初は使いにくくて当然である。

そういった意味では、GUIアプリケーションにおいて「ボタン」や「タブ」(どちらもクリックする事をアフォードしている)といった部品が存在する事、「×ボタンをクリックする事でアプリケーションを終了する」といった標準化された振る舞いがある事は、「使い易さ」を高める大きな要因となっている。

では、エディタを使いこなした時の生産性の向上は何に由来するのだろうか? 本書においては、「頭の中に蓄えられた知識を利用した行動」の利点として、外界の知識を利用する場合に比べてはるかに高速に行う事が出来るという傾向の存在が指摘されている。これがエディタを使いこなした時の生産性の向上に繋がっているのでは無いかと考えられる。

他にも多くの例が考えられると思う。

今週の読書記録

達人プログラマーは今最終章(8章)なのでもうすぐ読み終わりそう。Land of Lispは手を動かす部分(ゲーム作る部分)をすっとばして一通り読んだ。ちなみに、これは半分以上すっとばした事になる。パターン認識と機会学習はチマチマ読んでてもうすぐ2章終わるとこ。t分布が出てきてめちゃめちゃ懐かしかった。