読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「題名だけ知ってた小説」を読み始めた

突然ですが、先週くらいから「題名だけ知ってて気になってた小説」を読み始めました。

きっかけはテッド・チャンの「あなたの人生の物語」というSFです。 これはSFの短編集で、特に理由もなく気まぐれに買ってみただけなのですが、普段全くSFを読まない自分でも面白く感じられました。「もしかしてSFって面白いんじゃないか」と思い、その勢いで他の「題名だけ知ってて気になってた本」も買い始めた次第です。

とりあえず4冊くらい読んだので、ちょろっと書評を書いてみたいと思います。ただ、ネタバレは無い方が良いと思うので、本当に簡単な感想です。

あなたの人生の物語

8つの短編が載っているSF短編集です。どれも興味深い世界観であり、それが「ただ現実に起きたことを記述しているだけ」の様に描かれています。毎話、「次はどんな世界の日常が描かれるんだろう」とワクワクしながら読めました。

実は、最初の1編目を読んだ時は楽しみ方が分からなかったんですが、途中から「描かれた世界観そのものを楽しめば良い」んだと気がついて、それからグッと面白くなりました。

自分も著者のテッド・チャンと同様に「物理」と「コンピュータ科学」がバックグラウンドにあるので(大学院まで物理を学び、コンピュータ科学は独学&仕事で触れているので)、「知識として知っているもの」や「知識として知っているがテッド・チャンとは解釈が違うもの」なんかが出てきたのも楽しめたポイントでした。

Amazon やその他のレビューサイトでかなり評価が高く若干自分の中のハードルが上がっていたのですが、それをきちんと超えてきてくれた様に思います。

幼年期の終わり

SFの古典として有名な本です(古典というと怒られるかも。書かれたのが1953年なので、そこまで古くはないです)。

実は粗筋は知っていたのでストーリーに驚きは無かったのですが、個人的には「高い知性」というものの描かれ方が興味深かったです。

「高い知性」をどう記述するかという事については、「全てがFになる」という本を読んだ時もちょっと考えたので、後でまとめて考えを述べたいと思います。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

1968年に書かれたSF。タイトルにやけに聞き覚えがあって、内容を全然知らないまま買いました。どこでタイトルを聞いたんだろう?

この本は、描かれる世界観がかなり自分好みでした。調べてみたら、著者のフィリップ・K・ディックが「個性的な世界観」で有名な人みたいです(昔映画で見たマイノリティ・リポートなんかもこの人の作品でした)。

自分は、どうも「自分が今持ってる常識や自分の世界に対する捉え方」と全く異なった"常識"が描かれる事に、面白さを感じる様です。何が正しいか分からなくなる感覚を味わったり、「あり得たかもしれない別の物語」を想像したりして、なかなかに楽しめました。

すべてがFになる

森博嗣という日本の作家さんの本です。SFではないですが(分類するならミステリ)、ずっと気になってたので読んでみました。

自分が理系の学生として大学、大学院を過ごしているので、描写を見て色々懐かしい気持ちになりました(年1回の研究室旅行の事や、研究所で実験をしていた頃の事を思い出しました)。著者は大学で助教授を勤めていたらしく、大学運営の手続きを揶揄する描写は「自身の本音を書いてる」様に感じたのも面白かったです。実際、大学の教員の仕事の量は壮絶だと思うので。。。(自分の研究室の助教も大変そうでした)

お話も面白かったですし、登場人物が魅力的でした。犀川先生は良いですね。

この本でも、「幼年期の終わり」の様に「高い知性」というものが描かれます。ただ、その描かれ方がちょっと違っていて、そこも興味深い点でした。

「高い知性」について

ここで、ちょっとだけ「高い知性」について考えてみたいと思います。人は、どんなものを「高い知性」と考えるのでしょうか?また、普通の人間の知性では理解が及ばないほどの「高い知性」というのは存在し得るのでしょうか?

高い知性の描写には色々な形があります。膨大な知識量、高い記憶力、素早く広範囲な言語習得、甚大な語彙力、圧倒的な計算速度、そして常軌を逸した思考回路。こういったものを目にした時、人々は「知性」を感じるようです。

では、なぜ「知性」を感じるのでしょうか?1つの仮説としては、「自身に出来ないこと」が出来るのがポイントかもしれません。もし、自身では一生かかっても獲得できない様な知識量を持つ人物を目にしたら、きっと僕も「高い知性を持つ人」だと感じると思います。

あるいは、上記に挙げた「普通の人の延長線上にある知性(量的な変化によってもたらされる知性)」だけでなく、「質的に異なる知性」というのも存在するかもしれません。それは、そういったものを目にしてない僕には想像もつきませんが、その存在を否定する事はできません。また、量的な変化によって質的な変化がもたらされる事も十分に考えられます(物性物理業界の有名な格言に、"More is different" という言葉があります。これはざっくりいうと「量的な変化が質的な変化をもたらす」みたいな意味合いなのですが、適用範囲が幅広い上に納得感があり、さらに現実に起きていることを言い表していて、自分の好きな言葉です。今回のケースにも当てはまるかもしれません。)

書評からは脱線しちゃいましたが、「高い知性」の描写には作家ごとに個性が現れるので、なかなか面白いと思います。

まとめ

という事で、最近「題名だけ知ってて気になってた小説」を買い始めたという話でした。

物語自体を楽しめますし、「気になってたことが分かってスッキリ」する感覚も味わえたので、やってよかったと思います。

おまけ: 「買ったけどまだ読んでない本」と「これから買おうとしてる本」について

とりあえず、題名を知ってて目についた本を買ったり欲しい物リストに入れたりしてます。大体以下の様な内容です。個人的には、「四畳半神話大系」が特に気になってます。

買ったけどまだ読んでない本

これから買おうとしてる本(とりあえず目についてほしい物リストに入れたやつ)

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)